人が動く一番強い動機

今日は相手に運動させたいけどなかなか本人が動かなくて困ってる人向けに、人が動く一番強い動機のことをお話ししたいと思います。

運動を続けられる人って運動が続かない人の気持ちがなかなかわからないものですね。

これやっとけば寝たきりにならないよ!とか思っても、やるかどうかは本人次第だし、強制的にやらせても身につかないですし。

でもそのいいと思ってる頑張る運動って本当は何にいいのかな?運動って結構エビデンス、科学的根拠を取るの難しいって思いの外認識されてないんじゃないかと思います。

えっ、色々アレやれば体にいいとかいっぱい言われてるじゃない、って思われるかもしれないんですが、運動方法の効果を科学的に証明するって、能力や運動に対する解釈なんか個人差があるし、環境や測定方法を一定にしていろんな人からデータを取るってすごく難しいことなんですね。

だから物理や化学の科学者って理学療法士やトレーナーの研究結果を見てもちょっと白けてる、ていうかそれ科学?てなっちゃってるんですけど、運動のデータで科学的根拠を示すのってそれくらい難しいんです。

僕が知ってる運動方法で高いエビデンスを示したものに「片足立ち」があるんですが、これやらない人よりやったほうが絶対何とかにいいって言い切れる研究の一つなんですが。

アメリカでこの論文がエビデンス最高の1Aを取ったのかな?これ神戸の整形外科の開業医が取ったのでたまたま知ってるんですけど…。逆に言うとそれくらいしか思い当たらない。

それくらい難しいし、よほど単純な方法でないと特定のものってならないってことですよね、運動って。同じに見えてやってる事バラバラっていうか。

で、じゃあ体にいい運動方法ってないのかって言ったらそんなことないのは百も承知で、科学的根拠で示さなくても実感として、とか見た目で明らかに、てこともあるわけで、もう受け手次第ですよね。

色々な方法が出てくるのは飽きなくていいですしエビデンスだけが全てじゃない。

この飽きなくてってすごく重要で、片足立ちがすごい!絶対に体にいいって証明された、だからって巷でされているかって言うとそうでもないんですね。

片足立ちって体にいい、お金も労力もかからない、いつでもどこででもできる、誰でも同じことできる、っていいことづくめじゃないですか。

でも話題にならないし普及してないんですよ。健康運動のサークルでちょっと小ネタに紹介される程度で。

片足立ちの健康本も出てるし、多分片足立ちがいいって聞いたことある人は結構いると思いますけど、やり続けてる人って聞いたことないんですよね。

誰にも言わないでひっそりやってる人はいるかもしれないけど、それいいのよって言われてもふ〜んって言うか。

こんなところから運動を続けるモチベーション、動機、やる気って経済的なことでではなさそうですよね。

すごいエビデンスを持ってる片足立ちがやる気を起こさないんだから。

じゃあ何が最も人を動かすのか?一番強い動機って何?

これは僕の経験から実感しているのが「他人からどう見られたいか」です。

えっそんなことでするのって感じかもしれませんが、僕がずっとモチベーションを上げられるかどうか人を見続けて思うのは、他人にどう見られたいか、が最も強い力を持っているって事です。

これは年齢とか関係ないです。美しく見られたい、強く見られたい、賢く見られたいって、見られる方向はそれぞれなんですが、他人にどう見られるか、思われるかを本当に人生の最後までガンガンに意識してるのが人間です。

年齢がいくと身なりを気にしなくなって、家の人に「ちょっとは運動しなさいよ」と口酸っぱく言われても全然やる気が起きないってこの欲求が枯れてるからだと思ってます。

だからおしゃれをする、身なりを整える、化粧をするっていうシチュエーションを作ってあげるってリハビリの仕事しててとっても大事だって思います。

これを一日3セットやって下さいね!て言うよりも。辛い筋トレの苦痛を上回る欲求てなかなかないんですよね。健康を維持するってぼんやりした目標だし。

他人からどう見られたいかって想像力がいるもので、そういう欲求が湧かないのって未来図が描けないこと、脳の認知機能が関わってるので、高齢になるとより難しくなってくる。鬱の人にも難しい。

じゃあどうするか。これを逆手に取って、具体的な描写がこちらがしていくことですよ。

その相手が自分でできないことを、ちょっと手助けしてあげる。一人では難しい事だし。

ということは、それをするセラピスト自身の想像力、創造性が問われる事になります。リハビリに大事なのは、コミュニケーションに加えてこのイマジネーション。

知識や手技能力よりまずそっちって感じですね。

セラピストが知識や技量に頼ると創造性が使いにくくなるから、相手のせいにしてしまう。

相手に何かが足らないと感じるけど、実は自分の創造性の問題だったりする。

そうなると自分の問題なんだから、自分の事に取り組めばいい。相手に不満を持つことがなくなります。

自分の創意工夫の範疇で、それを精一杯していくだけの事ですからね。

セラピストに最も必要な能力はコミュニケーションとイマジネーション。

ノウハウやテクニックだけでは限界があるので、もし勉強方法で行き詰まったら、発想を変えてみてはどうでしょうか?