目線をちょろっとこぼす(読了目安:2分)

人にとっての正面はどの方向か。

左右は分かりやすいのでいいのですが、上下は曖昧ですね。

だから前を見て、正面を向いてと言っても、ある人はアゴを突き出したり、

ある人は喉まで引っ込めたりしてまちまちの結果になります。

正面ってどこかな?どのレベルかな?と思って考えると、

レベルって元々水位を指すので、水平線や地平線を基準に考えたくなります。

でも動物として、水平線や地平線に用があるかというと、あまりない気がします。

やっぱり、地上にいる獲物や、敵を確認するために物を見る。

それは水平線よりも少し下の方を向いています。

僕のアレクサンダー・テクニークの先生、ブルース・ファートマンもこの目線のレベルについて度々言及していました。

自分が水瓶だと思って、いっぱいに満たされた水を、前方に水瓶をちょっと傾けることでちょろっと水をこぼす。

そんな目線を求めていました。

その目線のとり方は、太極拳の立ち姿勢にピッタリな具合です。

アゴが出ず、またアゴを引くこともなしに、背骨の上に頭をふわっと乗せる。

目線をちょろっと前にこぼす、は僕のお気に入りのディレクション(方向づけ)です。