• 大橋しん

悲しみは時間が必ずなんとかしてくれる。一方、一緒にいる人はどうしたらいい?

絶望した人の依頼を受けたことがあります。


夫を水難事故で亡くしたばかりの人でした。


僕はその時、ここまで打ちひしがれた人に対して仕事をするのは初めてでした。


眠れず、夜明けに後追い自殺を考えると。引きこもり、身体がガチガチなのでそれだけでもどうにかしてほしいと。



その人は僕のところに通って3年、やがて郊外の家で畑をして過ごすようになりました。


現在レッスンを卒業して5年ほど経ち、今はどうしているか分かりませんが、音沙汰が無いのでおそらく大丈夫なのだと思います。



レッスンの初め頃、僕は「こんな責任の伴う仕事を自分がしていいのだろうか?」と内心思っていました。


その方はすでに心療内科にも通っていて、精神薬でガッチリ身を固めながら何とかしていたのです。


レッスンが進むに連れ、その方から「薬を減らせそうな気がする」「抗うつ剤をやめてみてもいいか」と言われ、医者に相談して徐々に減薬し、レッスンの最後には睡眠導入剤をごく少量だけ、という状態までになりました。



レッスンの終わりは、僕がレッスン・スタジオを引っ越した事がきっかけでした。


新しいスタジオには現れませんでした。


きっと「もう大丈夫だ」と本人が思ったのだと思います。僕はあえて連絡しませんでした。




この一件があって、僕は2つのことを確信しました。


ひとつは、悲しみは時間がなんとかしてくれる、というのは本当だということ。


もうひとつは、人と一緒に過ごす技術というものがあって、勘だけでなく勉強すべきだということ。



幸い、このケースはよい方向で終わりましたが、責任の取れないことも起こり得たかもしれない。


自分の勘でやってきましたが、それだけに頼るのは危ない。


それでカウンセリングの勉強を始めました。



日本産業カウンセラー協会というところで、ロジャースの来談者中心療法(パーソンセンタード・セラピー)を中心に学びましたが、先程のケースを経てのことでしたから、気づくことがいっぱいありました。


結局7ヶ月かけてそこの資格を取りましたが、今も時間があれば勉強を続けています。




悲しみに打ちひしがれた人とどう過ごしたらよいか?


その答えは分かりませんが、僕なりに理解したのは、


如何にして一緒にいることができるか?


にかかっていることです。


アドバイスでもダメだし、励ましでもダメ、一時(いっとき)楽しませても次には谷が来る。


かといって一緒に落ち込んでもこちらが考え込んでも何もならないし、一緒にいる側の負担になってしまいます。


その如何にしてそこにいるか、僕はここにアレクサンダー・テクニークを学んだアドバンテージを持ってくることに気づきました。気付いたときに、いつでも身体が楽になれるということ。


あとは、時間が解決してくれる、それを信じるのみ。


永久に続く悲しみはない。


これが本当なら、いつだって救いも可能性も感じられる、と思いながら仕事に励んでいます。


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