- 大橋しん
ヌルヌルズィーペン、ドイツ語あれこれ
最終更新: 2020年8月25日
僕がドイツ語の聞き取りで難しかったのは数字です。
クラスで聞き取りの授業があるのですが、なかなか聞き取れませんでした。
電話番号などは数字が一続きなので全然聞き取れません。
ドイツ語と英語は数字があまり被っていないので、イメージが更新しなくて余計に混乱しました。
ゼロはヌル、セブンはズィーペンなので007はヌルヌルズィーペン。
定着しないでしょう?
毎朝テレビのニュースにナスダックが株価のテロップを流しているので、それを手当たりしだいに音読したりしてトレーニングしていました。
そういえばドイツは国際的なものもけっこう母国語で通しています。
ゴールはトーア。
ワールドカップはヴェルトマイスターシャフト。
サンタクロースはヴァイナハツマンで、
クリスマスはヴァイナホテン。
これらはどこの国でも共通した呼び名になっているのに、ドイツでは頑なに本国読みなのに何となく意固地な国民性を感じます。
単語構成は日本語と結構似ていて、どれだけでも長くなっていきます。
故井上ひさしさんがドイツ語の長い単語として
Kriegesgefangenenentschaedigungsgezetz(戦争捕虜損害補償法)
を挙げていましたが、日本銀行のガラスに印字されているものも似たようなもので、日本語も漢字表記すると外国人泣かせなのでしょうね。
この辺りは馴染みのあるルール構成だし、他にもドイツ語と日本語の共通点は結構あるので僕は自然と会話よりもテキストが得意になっていきました。
それで、会話がなかなかできない僕がペーパーテストで点が良くて、物怖じせずドイツ語で会話をしている英語圏のキプロスの子らのペーパーテストの点が意外に低いということが起こってきます。
僕は次第にドイツ語の文法が英語より理解しやすい、と思えるようになっていきました。
なんせルールから外れない。秩序立っています。この言語からドイツ人の性質が読み取れそうです。
逆に英語は文章構成が結構自由であったり、不規則変化や慣用表現がイレギュラーに入り交じるので、ドイツ語より奔放に感じて「慣れるしかない世界」のように思えてきます。
日本語とドイツ語のルールがはっきりしているところは、記述したものがベースに言語が保存・発展していったからと聞いたことがあります。
一方、英語は口語で発展していき、使う頻度が高い言葉は判別が瞬時にできるよう不規則変化が多くなった、と聞きました。
ドイツ語はルターの記述がみほん、現代文法のルーツと言われています。日本語は日本書紀や古事記?源氏物語?どの辺がルーツかは分かりませんが、どちらとも言語とは記録されるものであるという前提があるように思います。
そしてドイツ人も日本人も国民性は似通っています。秩序の中で安心・安全を感じ、そこからはみ出ると不安になります。
時間も信号も法律も遵守します。車のない交差点で信号は赤、渡らないのはドイツ人と日本人くらいです。他の国の子らは「あいつらなんで止まってんの?」という感じで不思議そうに見ていました。
ドイツ語を習うことに最初興味が沸かなかったけれど、こんな状況に放り込まれたことでその後の自分に多大な影響を与え、言葉と身体、そしてその人の性質を見ることに繋がっていったように思います。
今日はここまで。