
大橋しん
ライプツィヒで女神に出会う
更新日:2020年8月25日
学生ビザ申請のために尋ねた外国人局は外にアラブ系の人々が溢れ出ていたのですが、脇を通り抜け一階のロビーへ。
ここの待合のベンチは既に埋まり、座れない人たちが部屋を埋め尽くして、掲示板に表示される番号を睨んだり、伏せたり喋ったりしていました。
殆どがアラブ系、そして黒人、東南アジア系、東欧スラブ系といった人たちが入り混じって、ビザか他の用かを待っているのです。
掲示板と案内を何とか判読し、学校からの案内のあった者の学生ビザの発給は2階に回る事が分かったので、群衆を気にせず奥の階段に進みました。
2階に上がると横並びのオフィスに、これもまた廊下に長蛇の列ができていました。
「今日中にビザは取れるのだろうか?」
「この人達は何の用で並んでいるんだろう?」
「ドイツで手続きするときはいつもこんな事になるのか?」
不安で頭がいっぱいになっていきます。
ひとつの部屋の前に案内人が立っていて、学生ビザの仮申請証をもらうように言われたと伝えるとこちらへ並べとひとつの列の最後尾を指定されました。
その列に並ぶと、列の折り返した向かいに菊の御紋の赤いパスポートが見えて、思わず
「日本の方ですか?」
と言うと、
「ゴメーン私この町すぐ出ていくので…」
という謎の返事に、僕はおそらく顔が???となったのでしょう。
声を掛けた人を見ると、美しい日本人の女性が、気まずい顔をしているのでした。
後に分かっていくのですが、ドイツにいる日本人女性は多少なりともフィジカルに整っていると人種関係なく異様にモテるのです。
この女性、ミキさんという方も始終ナンパされているので即断りが習慣ついており、僕がナンパで声掛けしてきたと思ったようでした。
さて、僕の顔を見返して彼女はおそらくナンパではなかったと分かり態度を改め、
「日本から来られたばかりですか?なにかお困りですか?」
というところから始まって数日間、彼女にライプツィヒのあちこちに連れていってもらい、生活の基盤がすっかり整うことになっていきます(*ラブストーリーには至りません)。